本日は、石材加工卸の裏話を一つ。
石材店の加工工場を維持するのは莫大な経費が掛かります。
その大きな要因の一つが、石を切削する刃が消耗品だということです。
石は硬質なので、工業用ダイヤモンドの刃を使用します。
また、これがかなりの高額なのです。
弊社には、小口径・中口径・大口径と切削機があり、
46インチ×2台
50インチ×1台
72インチ×2台
80インチ×1台
100インチ×1台
120インチ×1台
を現在も稼動させています。(もっとありますが、整備していません)
一番大きい120インチ、刃の直径が約3000mmほどになりますが、その刃の価格は120万円ほどです。
2年も使用すれば、ダイヤモンドの刃がなくなってしまい買い換えです。
全ての切削機のダイヤモンドの刃を入れ替えたら数百万円が飛びます。その他にもオフカットやコーピン、ベビーサンダー等の刃や磨きの研磨板も消耗品です。
国産のこれらの製品は、石材を加工する業者が少なくなり、需要が減り、毎年のように値上げをしている状態です。
120万も出して、稼動させなければ意味がありません。ほっといたら錆び付いて使いものにならなくなります。
しかし、昨今の中国製の墓石を始めとした石材製品が市場のほとんどを占める中、切削機の稼働率を上げるのは至難の業なのです。
多くの石材店で、刃を購入することができず、切削機を稼動させなくなり整備不良で動かなくなっている。
これが現実です。径の大きい切削機ほどそうです。維持できている弊社には、大口径での切削だけの仕事の依頼もしょっちゅうきます。
ただ、実は、墓石だけだとそんなに困りません。最近は、商社を通して、だいたいの大きさで切ってある半製品を購入することが多くなってきています。
原石を切ったら品質に問題があり使いものにならないことは多々あります。半製品なら、黒球や流れなどのリスクを最小限に抑えることができます。また、保証もしっかりしていて、クレームにも直に対応してくれます。便利です。
商社にとって弊社は、稲田石の原石購入先であり、上得意の卸先でもあるので優先して良質な石を提供していただいています。持ちつ持たれつの関係です。
その辺は、純国産墓石を専門に扱っている強みです。取引量のある会社を優遇するのは、どの業界でも同じです。
弊社でも、建築資材は原石購入。墓石は半製品購入が多くなっています。(県外の石種はほとんどそうです)
稲田石採掘元なので、まだまだ、切削機は現役で必要です。でも、こういった分業化は今後も進んでいくと思われます。
とうか分業化しないと成り立ちません。経費が掛かるだけでなく、人手も不足がちです。経費削減で、人員は最低限まで圧縮しています。
切削機の稼働は工場長がその他の業務をこなしながら一人で行っています。
涙ぐましい努力の元、なんとか国産の石材加工工場を維持しています。
でも、そのおかげで、設備の維持管理と石工の技術の研鑽を続けられてるのです。
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