石の世界って奥が深いんです。
プロの石屋さんでもわからない未知の世界が沢山あります。
石は大地の恵みです。
お墓に利用する石は、ほぼ99%マグマが冷えて固まった火成岩(凝灰岩や石灰岩・大理石もあるかもしれませんが割愛します)で、細かく分類すると花崗岩・安山岩・斑レイ岩・閃緑岩などがあります。
マグマは鉱物がドロドロに溶けているものですが、鉱物の種類は、一定でなく、割合も一定でなく、薄い濃いがあったりして、それぞれに特色のある岩石を形成します。
世界中に色々な石があるのはその為です。
マグマが冷えて固まった火成岩に、良い悪いはありません。ただし、お墓として屋外で利用した場合には、風化作用という形で差がでます。
今回は、その風化作用の差について話をしてみます。
石の性質は、中身の鉱物が決定づける!
石は、鉱物の集まりなので、その岩石に内在する鉱物の性質が反映されます。
難しい言葉を使っていますが、結局中身次第とうことですね。
中身と一口に言っても、同じ石種でも同じ中身ではないし、鉱物に偏りもでます。
この鉱物の差によって、風化の速さにも差が出てきます。
また、鉱物と鉱物の隙間の多さや硬さも大きく関わってきます。
採掘時の条件(ダイナマイトの発破でのマイクロクラック)や磨き方によっても品質に差がでます。
お墓の構造や施工に利用する材料も大きな影響を及ぼします。その墓地の環境も多大な影響を与えます。
墓石の品質を確かめる規定として、石材の比重・吸水率・圧縮強度があります。
天然石の石材はJIS A 5003に規定されており、施工会社は、公共事業で使用するに当たって公官庁に試験報告書を提出する必要があります。
※割栗石はJIS A 5006になります。また、道路用砕石は別です。
羽黒石材工業では稲田石を採掘していて建設会社向けにも販売をしているので、「石材の比重・吸水・圧縮強度試験結果報告書」を発行する義務があります。
年に一度、県の建設技術管理センターに稲田石の供試体(サンプル)を持ち込み石材の比重・吸水・圧縮強度試験を行っています。
見掛け比重
・石の重さです。石を組織する鉱物と密度によります。
吸水率
・石はスポンジ状で目に見えない微細な穴や隙間があり水を吸水します。その割合をあらわしたものです。
圧縮強度
・上からぎゅーっと押しつぶしてどれだけの圧力に耐えられるかを計ります。
この他にもJIS A 5003には石材の分類・形状及び寸法等の規定があり、欠点及び等級についても定められています。
石材の品質を産地及び岩石の種類ごとに、それぞれ、一等品、二等品及び三等品とし区別しています。
墓石の購入を検討する際には、指標となるのは一般的にはこの程度しかありません。
このデータだけを比較すると、中国産の花崗岩と日本産の花崗岩とでは一般的に日本産の石種が優れていることがわかります。ただし、これらの数値だけでは測れない部分もあります。
例えば、吸水率ですが、吸水率が高目でも水抜けの良い石はそれなりに経年劣化に強かったりします。水を吸ったまま内部に留めてしまうG614等のような石もあります。
また、組織する鉱物によっても全然違ってきます。鉄分が多いとサビが出たり石の表面がはじけ飛ぶことがあります。
帯磁率の高い石は風化が早い←リンクです。・花崗岩で比較すると帯磁率の高い石は経年劣化が早い傾向にあります。
それに、石にも引張強度とも言うべき「ねばり」があり、火山地代で新しく形成された日本の石種は組織同士の繋がりが密で経年劣化に強いです。
稲田石や真壁石のように二酸化ケイ素の比率が高く石英が多く、科学的にも硬質で安定している石種もあります。
石材の劣化度合いは、含有鉱物の割合に依存しています。←リンクです。
単純に「比重・吸水率・圧縮強度」だけで石材を比較するのは不十分です。
より確かに、石の良し悪しを判断するには、もっと踏み込まないとわかりません。
その結果がわかるのは石の劣化が進んだ数年後~数十年後です。
その頃になると、国産墓石と中国産墓石とでは明確な差が現れてきます。
風化が始まってからも、日本の花崗岩は粘り強いという結果が出ています。反対に中国の花崗岩は、劣化が始まるのも早く、進行も早い傾向にあります。
「日本の石は気候風土に合っているから、風化に強い。」とは良く言われていますが、科学的な分析からも、実証されています。
後々のことまで考えて安心のできる国産墓石を選択されるのもよろしいかと思います。
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